2009年4月15日

第171回国会 衆議院 厚生労働委員会   2009年4月15日

○田村委員長 次に、内山晃君。
○内山委員 民主党の内山晃でございます。
 舛添大臣、きょうもひとつよろしくお願いを申し上げます。
 大臣にちょっと冒頭からお願いがございます。今、年金記録問題、そして新たな年金記録の改ざんの問題が出ておるわけでありまして、どういうパターンがあるのかなということをこれから突き詰めようとするわけではありますけれども、実は、長妻議員と、昨年でしょうか、社会保険事務所の倉庫を一度見学したことがございました。そこには社会保険の全喪届のファイルがいっぱいありまして、例えば、Aという建設会社がどんなふうに保険料を滞納して全喪していったかという経緯が、稟議もついてあるわけですよ。そういうところを一度大臣と一緒に視察をさせていただけないかな。そうすると、つぶさにそういう現場の違法なものが見えるんじゃないかな、こう思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○舛添国務大臣 真剣に検討させていただきます。
○内山委員 それでは質問させていただきますが、質問の前に、与党提出の法案について若干指摘をさせていただきたいと思います。
 社会保険の保険料等に係る延滞金を軽減するための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案について、委員長提案という形で協議が進んでいると聞いております。しかし、少し危惧する箇所がございますので、若干意見を述べさせていただきたい、こう思っております。
 この法案の趣旨は、「現下の厳しい経済社会情勢にかんがみ、社会保険の保険料等の納付が困難となっている事業主等の経済的負担の軽減に資するため」とあります。厚生年金保険の保険料と健康保険の保険料は、労使折半で負担をしています。事業主は、労働者の給料から天引きした保険料を事業所負担分と合わせて国に納付をします。労働者から天引きした保険料を事業主が流用し滞納した分までも延滞金を軽減する対象とすることは、保険料の流用を国が認めることにならないのか、疑問が生じます。事業主等の経済的負担の軽減に資するためにはならないと思います。
 同じく、労働保険についても、雇用保険も労使で負担をしています。また、労働保険料に関して、労働保険事務組合というものがございます。労働保険事務組合が、事務委託をしている事業所から納入された労働保険料を労働保険事務組合の都合で国に納付が遅延した場合についても、委託事業所から納入された保険料に対しても労働保険事務組合が延滞金の軽減措置を受けることは、事業所から納入された保険料を期日まで納めなかったことを容認することになりませんか、疑問が生じます。これも事業主等の経済的負担の軽減に資するためとはとてもなりません。
 労働者から天引きした保険料や委託事業所から納付された保険料は対象としないとすべきではないでしょうか。
 以上の点を指摘しまして、質問に入りたいと思います。
 それでは国庫負担割合二分の一引き上げに関して質問をいたします。
 基礎年金は個人単位で制度設計されているため、単身世帯の年金は夫婦世帯の半分の額になります。しかし、生活費は、単身世帯が夫婦世帯の半分ではありません。審議会では単身低所得高齢者等加算について議論されておりますけれども、大臣はこの加算についてどのようにお考えになりますか、御答弁をいただけたらと思います。
○舛添国務大臣 今おっしゃったように、二人で食いぶちをやった方が一人よりも負担は少なくなる、これはもう当たり前の話で、家族の数がふえたときも同じようなことが言えると思います。
 これは今、委員御指摘のように、社会保障審議会年金部会で議論が行われているところなんですけれども、給付水準、所得水準をどう見るか、それからもう一つは、やはり最後は生活保護との絡みをどう見るか、二つの制度が違うもので。そういう観点から、徹底的にこれは審議会を含めて国民的な議論が必要だというふうに考えていますので、私がどっち向けと言う話ではなくて、問題意識としては極めて鮮明に持っておりますので、今後の議論をまちたいと思っております。
○内山委員 次に、受給資格の件でお尋ねをしたいと思います。
 老齢基礎年金の受給資格二十五年の見直し、以前にも質問をしておりますけれども、日本の受給資格期間二十五年はやはりとても長いと私は考えています。アメリカでは十年、韓国十年、ドイツ五年、イタリア五年、フランスがない、イギリスもなし、こういったところでいきますと日本はいかにも長過ぎる。しかし、諸外国では、収入のない無業者は公的年金制度の強制適用対象者としていない国が多い。一定以上の収入がある就業者が強制適用の対象となっています。
 日本では、収入のない人も保険料の免除制度等を使って受給資格を得ることができます。しかし、この免除制度の受給資格も二十五年必要だということになります。基礎年金として免除を受けますと国庫負担相当分が支給されるわけでありますけれども、低年金ということになるわけでありまして、この低年金、そもそも年金という名に値する額なのか、そのことをどのように考えるか、お尋ねをしたいと思います。
○渡辺政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま先生から、さまざまな角度から、国際的な制度の違いも含めて総合的な御指摘を賜りながらの御質問でございますので、端的にお答え申し上げたいと思います。
 皆年金体制を世界に類を見ない形でとった日本として、国民年金だけに加入される方については、とりわけその給付になる金額というものを一定程度まとまったものにする必要がある。生活保護とは違うけれども、年金制度の中でも一定程度まとまった給付が必要だという価値判断のもとに、この二十五年というものがつくられたと思います。
 もとより、ずっと国民年金だけという人ではなくて、皆さん、時折厚生年金になったり共済年金になったりいろいろありますので、純粋に国民年金の中だけで二十五年ということが多くのケースとは言えないかもしれませんけれども、たまさかそうなった場合もまとまった額であるべきだという観点が強くあらわれたものだと理解しております。
○内山委員 全額免除を四十年やったとしても三万三千円しかならないわけですね。これが本当に年金という額に値するんですか。これじゃとても暮らせないですよね。そこにやはり今の制度的な矛盾というのがあるな、ここはやはり大きく直していかなければならないなと思います。
 今お話がありました生活保護というのがあります。生活保護を受けるためにはミーンズテストを受けなければならないわけでありまして、保険料を全額免除された基礎年金はなぜミーンズテストなしで受給できるのか、基本的な考えをお尋ねしたいと思うんです。
○渡辺政府参考人 御趣旨を取り違えていなければと思いますが、先ほども申し上げました日本の国民年金も、基本的に、自立自助の観点に立って、老後に備えてみずから制度に参画して掛金を払うということにしております。
 したがいまして、みずから払った掛金によって結果生じてくる権利については、生活保護のような補充の原則ではなく、みずからの権利として普遍的にその計算された金額を受給できる、したがってミーンズテスト等はかけないというのが基本であろうかと思っております。
○内山委員 四十年間全額免除を受けても三万三千円にしかならない。だったら、二十五年というルールを外して、掛けたら掛けた分、払ったらいいじゃないですか。そうすれば、無年金者が百十八万人もいる現状で、受給資格を見直せば、生活保護でなく、低い年金でも自分の年金が受給できるようになるわけじゃないですか。その辺はどうお考えになりますか。
○渡辺政府参考人 お答え申し上げます。
 今の点についても、大変難しい判断のポイントを幾つも含んでおるものと思います。審議会でも、そうした御議論を得て、私どもが考える以上に、専門家の中にも慎重な考えの方が多いわけでございますが、お答え申し上げれば、この問題を、四十年免除でも三万三千円なんだから短縮してはどうかということだけで短縮いたしましたときに、その結果を見た上でもう一度もとに戻すということが本当に可能だろうかという点が一つございます。
 それは、例えばどういう結果を一応頭に置いておくべきかといえば、低年金者をさらにふやす結果にならないか、一層の保険料納付意欲の低下にならないか、それから、もとより過去分を含めた給付増に対する財政措置をどのようにするのか、年金財政全体にどんな影響を大なり小なり与えていくというふうに総括されるのか。
 そういった点を常に頭に置きながら判断をしていくべきであり、総括して言えば、先ほど来御指摘いただいておりますように、三万三千円とか十年で一万六千円とかいうのではなく、もっと基礎年金というものが最低保障機能を強化された形でデザインされていくべきではないか、そのための財源も議論すべきではないかというところに落ちついていくのではないかと想像しております。
○内山委員 今御答弁にございましたとおり、短期間で受給資格を得ることが可能となれば、保険料納付意欲が低下して未納問題が一層深刻になる、低年金者が増加する、保険料を納めた者と四十年間すべて免除を受けた者との年金額のバランスがとれない等の問題が生じる、こういうふうなことは私もわかります。
 これはやはり、大きく言えば社会保険方式の問題点でデメリットではないかと考えるんですけれども、いかがでしょうか。
○渡辺政府参考人 制度には、それぞれ、その持っているメリット、デメリット、長所がすなわち短所であるということはよくあるわけでございます。しかしながら、この四十年余りにわたって、この拠出制に基づく年金が現在の成熟段階に至るまで、多くの国民にこつこつとその掛金を払っていただき、その実現も少なからずの人数もう出ているわけでございます。
 そうした中で、振り返ったときに全体をどう総括して未来をどう見るかということが我々に問われているという観点から、審議会におきましても、振り返ったときに、やはり結果論として不十分だったところを年金制度ではなく生活保護とか他の社会福祉制度にゆだねるべきで、知らないという立場には立たない方がいいのではないかという御意見をいただいて、その中で、長所もあれば短所もある制度の中でどのように補っていくのかという観点から、ある種、単身高齢者等の加算制度のようなものも御提言いただいたし、今後将来に向けては、所得の低い方には数千円でもいいから満額の六万六千円につながるような道というものを構成できないのかという御提言もいただいたものと理解しております。
○内山委員 社会保険方式のメリットは税方式のデメリットでもあろうと思います。税方式のメリットは社会保険方式のデメリット、表裏一体の関係だと思います。しかし、保険料か税金かの違いで、だれかが必ず負担しなけりゃ制度が成り立たないわけですね。
 保険料か税金か。大臣、どうでしょうか。大臣はどっちと、そんな感じで答弁を求めます。
○舛添国務大臣 昔、学者をやっていたときは、私は、例えば基礎年金は全額税でやる、それがいいのではないかと。そしてその水準を、今の六万六千円とかいうんじゃなくて、仮に、例えば十万、そうすると夫婦二人で二十万ですから、まあこれは東京でも持ち家であれば生活できる。その上で、二階建て部分はどうするかは、これは積立方式にするなりあってもいいと思うので、積立方式か賦課方式かという議論もあります、今の保険か税金かというのもあって、それぞれまさにプラスマイナスあるので、どっちかの方式一本じゃないだろうと思っています。
 だから、これは与野党を超えて議論をして、これとこれとこれだけは国民の全体のコンセンサスとして持っておきたいということがあれば、例えばこの部分は税方式、この部分は保険料方式、この部分は賦課方式を加味すると。民主党の皆さんが出されている案でも賦課方式的なところも入っているわけですから、非常に複雑な設計になろうかと思っています。そうすると、先ほど言った公平で簡素で透明でということと若干そごを来すのですが。
 それからもう一つは、やはり社会全体のあり方で、私は若いころヨーロッパで、みんな年金生活者ということで年金だけで生活している。それは、ソーシャルストックというか社会資本自体が、簡単に言ったら、木のうちと石のうちということでもいいんですよ。社会資本があれだけ蓄積しているところでの年金とそうでない国の年金ということもありますから、年金制度だけを取り上げてということよりも、社会全体の今言ったストック状況のようなことも含まれてなので、ただ、これはやはり十年がかりの議論をスウェーデンなんかもやっていますから、党派を超えてきちんと議論をするということで、今の御質問に、あんたはどっちだといっても、今のような答えしかできませんということです。
○内山委員 まさにスウェーデンは、税と社会保険方式、両方ミックスしてやっている。これはやはりそれだけ非常に難しい設計になるわけでありますけれども、いろいろ今の現状の年金制度を考えますと、やはりここはもう大きく踏み込んでいかないと大変なことになってしまう。
 例えば、前回も指摘しましたけれども、国民年金第一号被保険者の被用者がたくさんいるわけですね、四割弱いる。さらには、若年非正規雇用者、この人たちが将来無年金、低年金になる、大量になる可能性があるわけでありまして、今からこの救済措置を手当てしなければ大変な社会になってしまう、こんなふうに危惧をするわけでありますけれども、その辺はどういうふうにお考えになりますでしょうか。
○渡辺政府参考人 現下の非正規の方々、パート労働者の方々、こういう方々の老後ということを考えますときに、今先生御指摘のように、さまざまな困難な将来というものを想定すべきではないかという点についてはまことに同感でございます。そのことが、生活保護との関係云々という技術論の前にその点があろうかと思っております。
 そこで、私どもとしては、方策といたしまして、もとより基礎年金の最低保障機能強化を向上させるということもあるんですが、官邸での御議論なども見てみますと、審議会におきましても、やはり厚生年金のような被用者年金のスキームをもっと不安定な就労に頼らざるを得ない人たちに幅広く拡大していくべきではないのか、日本の基準点というのは少し高過ぎないかというような御指摘を受けております。
 これも、年金制度的に、いろいろな逆転現象その他、テクニカルな点はあるわけでございますが、また、いわゆる専業主婦の問題など難しい点はあるわけでございますけれども、大きな方向性として私どもは当を得ているものと思い、現下の制約条件の中でもチャンスをとらえて、今提案しております法案もございますけれども、そのほかにも、どういった工夫ができるのか、さらに検討していくべき問題だと考えております。
○内山委員 三号の問題について今一部出ておりますけれども、国民年金の第三号被保険者、夫や妻が厚生年金や共済組合に加入している、その被扶養配偶者、二十歳以上六十歳未満が対象で、要件として年収が百三十万円未満という基準があるわけであります。
 この年収百三十万未満の基準、どういう根拠で百三十万としているのか、それをお尋ねしたいんですけれども。
○水田政府参考人 お答えいたします。
 議員御指摘の被扶養者の認定基準でございますが、これは、健康保険法に規定されております被扶養者の要件のうち、主としてその被保険者により生計を維持する者に該当するか否かについての所得上の判断基準でございまして、昭和五十二年に初めて設定したものでございまして、当時、その額は七十万円でございました。
 これは、昭和五十二年当時の所得税の控除対象配偶者の収入限度額が七十万円であったこと、それから、国家公務員共済組合や健康保険組合におきまして実際に用いられていた被扶養者の認定基準は七十万円であった例があることを踏まえて設定したものでございます。
 その後、何回か引き上げがございましたが、昭和六十二年以降、被扶養者の方々の保険関係の適用を維持するという考え方から、所得等の伸び率に合わせて認定基準の改定をその後行ってきまして、その結果、現在の百三十万円という基準に至っているところでございます。
○内山委員 この百三十万円、税制上の優遇措置や扶養家族として取り扱いを受けるようにするため、常勤の仕事を選ばず就労を抑制している女性が百二十万人いるんですよ、百二十万人。女性の労働力をもっと社会で活用するためにこの年収百三十万円未満の基準を見直して、もっともっと女性の力を社会に貢献していただく。こういうためには百三十万円の基準を見直す方がいいんじゃないかと思うんですけれども、大臣はいかがでしょうか。
○舛添国務大臣 それも、この前以来議論している在職老齢年金の話と同じで、所得税法上の年収基準はたしか百三万円になっていたと思いますけれども、みんなこれがあるから、パートでそれを超えないように、在職老齢年金もそれを超えないように。
 だから、確かにそのことのプラスもあるかもしれないけれども、しかし、全体の社会の活力ということから考えたら、これもきちんと、シミュレーションできるのかどうなのか、ある程度の答えができれば、国民のコンセンサスを得て、プラスの方がむしろ多いよということになれば、それは変えていくということも検討すべきだと思います。
 これは審議会なんかでも検討項目として、今後とも今の問題意識を持って検討してまいりたいと思っております。
○内山委員 保険料の負担についてちょっと尋ねたいと思うんですけれども、給与が同一であれば、扶養家族が何人いても、奥さんがいようがいまいが、厚生年金保険料は一緒なんですよね。ここでやはり単身者は損をしている、配偶者がいれば第三号被保険者の保険料は制度が払っていますけれども、単身者の場合にはそういう妻の分というのがありませんから、何か不公平ではないのかなと常々思っておったんですけれども、その辺はどういうふうに考えたらいいんでしょうか。
○渡辺政府参考人 お答え申し上げます。
 今御指摘の点も、先生御承知のように、さまざまな角度からの異なった意見がございます。厚生年金、健康保険の保険料を通じた構造的な意見の分かれる論点であろうかと思います。
 一つは、被扶養者がいるんだから、そういうサラリーマンの保険料はもっと減額しろという御意見もございます。一方、被扶養者がいたら家族保険料を取るべきだ、あるいは第三号被保険者にも負担を少しでもしてもらうべきだ、こういうような両方からの御意見がございます。
 そういう中で、現行制度は、厚生年金保険においての例で申しますと、主として第二号被保険者の収入により生活を維持する配偶者を被扶養配偶者とし、報酬が同額の被用者に対しては、その被扶養配偶者の有無にかかわらず、同一の負担能力を有するものとして同額の保険料負担を求めておるわけです。健康保険も同様でございます。
 こうした社会保険制度は、社会全体での相互扶助の仕組みであることから応能負担原則をとっているものであり、これを実現するものとして、給与が同一であれば保険料を同一とするという原則は、このような社会保険制度の理念に照らせば不公平とまでは言えないものではないかというのが現在の制度の考え方でございます。論点があることは承知しております。
○内山委員 その辺は、単身者は一人なんだから不利なんだ、早く結婚しなさいというインセンティブになるのかもしれませんけれども、少しやはり制度的に見直していただきたいなと思います。
 最後にもう一点、国民年金第三号被保険者のうち男性の人数は何名おりますでしょうか。
○石井政府参考人 お答え申し上げます。
 国民年金第三号被保険者のうち男性の数でございますけれども、平成十九年度末におきまして、九万九千九百四十八名という数字になっております。
○内山委員 この第三号被保険者の男性は、実は、奥さんが働いていてだんなさんが家事をやっていて小さな子供がいたりすると、奥さんが仮に亡くなると、遺族基礎年金が受けられないんですよね。これをどう思いますか。いかがでしょうか。
○田村委員長 内山君、時間が経過しております。端的にお願いします。
○内山委員 済みません。では、端的に。
○渡辺政府参考人 いろいろな制度の違いが年金の中にもございますが、遺族基礎年金につきまして、結論的には、夫については一般に稼得能力を有するという考え方をとって、それを支給対象としていないというのが現行制度であると思います。
○内山委員 続きはまた次回にさせていただきます。ありがとうございます。