2009年2月20日

第171回国会 衆議院 予算委員会第5分科会   2009年02月20日
次に、内山晃君。
○内山分科員 民主党の内山晃です。
 きょうは二点ほどお尋ねをいたします。
 まず初めに、国民年金基金の年金受給口座についてお尋ねをしたいと思います。
 ある国民年金基金では、年金受給口座を郵便局のみとした年金裁定請求書を使用し、郵便局に口座をお持ちでない方は口座を開設してほしいという旨の案内を同封している、こう聞きました。
 本来、年金受給口座というのは本人の自由意思で、利便性の高い金融機関で受けるのが筋だと思いますけれども、このような国民年金基金の行為というのは適正でしょうか、まずお尋ねをしたいと思います。
○渡辺(芳)政府参考人 御承知のとおり、国民年金基金は、国民年金の第一号被保険者の方が、地域あるいは職域における共助の精神に立って、高齢期の所得確保に自主的に取り組むため設立、運営されているものであります。ただ、公的年金の付加年金部分を代行しているということから、公的な制度としての側面も有しているわけであります。
 そうした国民年金基金の運営事務は、基本的には各国民年金基金の判断により行うべきものではあるものの、御指摘については、まず関係者からよく事情を聴取する必要があるのではないかと考えます。
 御指摘のお話が、仮にも、個別の実態として、本人の意思にかかわらず一方的に年金の受取金融機関を限定しているということであるとすれば、加入員の希望する金融機関を選択できるとする権利を阻害することとなり、いかがなものかと考えております。
 いずれにしても、厚生労働省として、加入員の権利を損なうことがないよう、必要に応じ国民年金基金を指導してまいりたいと考えております。
○内山分科員 郵便局のみしかないという向こうの指示のとおりに、既に郵便局だけで口座を開設して年金を受給されている方がいらっしゃるとすれば、その人たちに対してこの年金基金から、それは今後、他の金融機関にも口座をかえることができますよという文書の通知を発送するような指示を与えますか、どうでしょうか。
○渡辺(芳)政府参考人 個別の事例に即して考えるべき点もあるのかと思いますけれども、私ども、両者といいますか、加入員の方々のお声それから運営している側の声、両方をきちっと明らかにした上で、御指摘のとおり、法令上は希望するところ、こうなっておるのですから、そこをきちっと担保できるように指導してまいりたいと思います。
○内山分科員 それでは、この基金の関係はもう一歩、ちょっと大臣に聞きたいのです。
 なぜ国民年金基金はこういうことを行ったのかというと、払込手数料が郵便局は三十円、一般の銀行が八百四十円なんですよ。やはり基金に対して払込手数料の負担が大きいと思うんですね。こういうことを大臣はどんなふうにお考えになりますか。
○舛添国務大臣 郵便局も株式会社化されて、民営化されているわけですから、そういう意味では、ある意味で自由な競争。例えば我々が諸機関、金融機関に払い込むときも、インターネットを使うとかいろいろな方法で安くする手段があるので、ある程度の自由な選択肢はあると思いますけれども、今おっしゃるのはちょっと極端に過ぎるかなと思います。
 だから、そういうところを何でもかんでも規制すればいいというものじゃないと思いますけれども、何らかの形の、公共的なお金の授受についてはある程度の、差が余り大きくできないようなことがあった方がいいかなという感じがしますけれども、今後の検討課題にさせていただきます。
○内山分科員 それでは、質問をかえまして、戦没者の遺骨収集についてお尋ねをしたいと思います。
 昨年十一月十六日、琉球新聞が、糸満・荒崎海岸でNPO団体が二十七遺体を収集したと報じています。
 当日は、午前九時半から午後三時ごろまでの六時間で、余り広くない範囲で遺骨を見つけた。戦後六十三年、亡くなってそのままの姿で風雨にさらされ続けていた。しかも、海外ではなく日本国内での出来事であるわけでありまして、今まで国は一体何をやっていたんだろうか。私は、岩の間や岩陰などの地表に遺骨がある写真を見て、強いショックと怒りを感じました。大変悲しい出来事がまだ終わっていない。心がすごく痛みます。
 佐賀県にあるNPO法人が、戦没者を遺族のもとへと活動されています。きょうは、このNPO法人が発行した冊子をもとに質問をさせていただきたいと思います。
 大臣、こんな写真なんですよ。地表遺骨なんですね。そのまま埋まることもなく、亡くなったままの姿で地表に横たわっている。これは物すごいショックだったですね。何でこんなことになっているんだろう。
 戦後六十三年が経過した戦没者の遺骨収集について、国は積極的に遺骨収集活動を行っていないとの指摘がございます。なぜ、今、積極的に遺骨収集を行っていないのか、その理由をお尋ねしたいと思います。
○及川政府参考人 お答え申し上げます。
 遺骨収集につきましては、戦後、昭和二十七年から順次、積極的に実施してきているところでございます。当初におきましては、戦友の情報ですとか当方で所持しております戦史に関する書類といったものに基づいて、網羅的に各戦域、主要な戦域を網羅したということでございます。
 その後につきましては、それまでなかなかできなかった地域、あるいは新しい情報等に基づいて積極的に収集してきたところでございますけれども、何分、戦後六十年が経過して、戦友の方々の高齢化、新しい情報が少ないという状況の中で、最近におきましては、平成十八年度から当面三年間というふうな期間を区切りまして、情報収集事業ということで民間の団体に委託いたしまして、集中的な情報の収集ということで、フィリピン、東部ニューギニア、ビスマーク・ソロモンといった戦没者の方々が多い地域を中心に実施してきているということで、こういったことも含めて、積極的に遺骨収集に取り組んでいく姿勢でやっているところでございます。
○内山分科員 戦没者の情報収集ということで、政府は、戦没者収容をいつまでもだらだらやっても仕方がないと、今話されましたけれども三年間で区切りをつけると、尾辻厚生労働大臣の時代に調査予算を二千九百万円出されたわけですね。
 この十八年度の二千九百万円、一体どのような成果が得られたのか、具体的に御説明をしていただきたいと思います。
○及川政府参考人 情報収集事業の成果でございますけれども、平成十八年度から三年間の中で、方法としましては、現地の住民の方々、コンタクトパーソン等にいろいろなことをお願いして、あるいはテレビ、ラジオ、新聞といった広報も含めまして情報収集に努めた、そういった中で、三年間を通じまして、これらの地域で三百六十三柱の遺骨を収集するということで、一定の成果が得られたというように考えております。
 しかしながら、より多くの成果を上げることができないかという観点も含めて、これまでの事業の問題点を見直して、二十一年度以降さらに、この事業の見直しも含めて、予算的にも拡充をお願いして進めていきたいというように考えているところでございます。
○内山分科員 具体的には何か施策はありますか。
○及川政府参考人 具体的な方策でございますけれども、これまでの三年間の経過を振り返りまして、コンタクトパーソンをお願いする方々に対しまして、もう少し手厚く、調査員として常時一定の期間を雇い上げるという形で、恒常的に情報収集に当たってもらうことができるような体制をつくる。
 あるいは、民間団体の方々が情報収集、調査に現地に赴くわけですが、それも、短期間ではなくてある程度長期間現地に行って、現地調査員の方々と密接な連携をとるような対応ができる予算措置を講ずる。
 あるいは、政府といたしましても、対象となる地域に対しまして、外交ルートを通じて、環境整備に努めるといったことも含めて改善を図っていきたいというように考えているところでございます。
○内山分科員 アメリカ国立公文書館に、米軍の対日戦の戦闘報告書、諜報報告書、無線傍受記録、捕虜尋問書などの、戦闘や日本軍がとった作戦が詳細に記録されていて、これらの記録を細かく分析すれば、二百四十万人の戦没者が、いつ、どこで、どのようにして戦死したかが明らかになる重要な資料をNPOの団体が自費で調査をしています。
 本来、日本政府がやるべき仕事と考えますけれども、政府は、このアメリカ国立公文書館の調査に対してどのように対応するか考えていますか。
○及川政府参考人 御指摘ございましたアメリカの資料につきましては、率直に申し上げまして、これまで本格的に政府として対応してきていなかった部分でございます。
 これにつきましては、平成二十一年度予算の中で、新たに、アメリカの国立公文書館に当面重点を置きたいと考えてございますけれども、そこで保有しております部隊日誌等の資料を調査するというふうに取り組んでいきたいというように考えております。
○内山分科員 大臣、今私が申し上げましたアメリカの国立公文書館の資料なんですよ、これは訳してありますけれども、ガダルカナルでどういう戦闘が行われて、どこで何年何月、どこの丘で何人亡くなっている、こんな資料があるんですよ。こういう資料を入手すればもっと的確に遺骨収集ができるんだろうと思うんですね。これはやはり国として早急にやらなきゃいけないんですよ。一NPO団体の尽力や経費ではとても解決できない。
 ぜひ大臣、そこはしっかりと力を入れていただきたいんですけれども、大臣からの所見をお願いいたします。
○舛添国務大臣 ぜひ、そういう形で調査研究をさせたいと思います。
○内山分科員 それでは、沖縄のことでお尋ねをしたいと思います。
 沖縄首里城下の三十二軍司令部ごうの発掘調査について、この司令部ごうでは多くの負傷兵が、戦闘が激しくなり司令部を撤退するときに、実は青酸カリや手りゅう弾で自害をしている。こういう世界遺産でもある首里城下の地下が、現在、戦没者の墓場状態になっているんだ、こういうことが書かれているわけでありますけれども、その実態は把握をされているでしょうか。
○及川政府参考人 御指摘がございました首里城の地下ごうでございます。
 これにつきましては、国土交通省と農林水産省が、この地下ごうの安全面という考慮から調査を沖縄県に依頼して実施してございまして、平成十七年度特殊地下壕実態調査といったものが沖縄県から提出されているということで承知しておりますが、それによりますと、首里城地下に所在するごうにつきましては、現在、入り口が完全に封鎖されていて、ごう内に入れないという報告がなされていると承知しております。
 私どもも、その後沖縄県の担当者に確認してございますけれども、ごう内に入るためには、いろいろな保安措置も含めまして、その工事につきましては技術的に相当困難が伴うというように聞いているところでございます。
○内山分科員 ということは、調査をされないんですか。
○及川政府参考人 現状におきましては、今後、沖縄県と相談していく必要もあるというようには考えておりますけれども、当該ごうにつきまして、これまでのところ、遺骨が存在するという具体的な情報をまだ得ていないということもございまして、現時点ですぐに遺骨収集を行うということは予定していないところでございます。
○内山分科員 この冊子によりますと、沖縄県の大田知事が、今なら体験者も遺族もおられるのだから、一日も早く戦没者の収容をしてほしい、こう語られているんですよ。やはりそういう事実があるということがこの冊子にも出ていますから、ぜひ早急に検討すべきだと思いますけれども、もう一度、今後どうされるか。
○及川政府参考人 具体的な情報につきまして、NPO法人の方々とも意見交換を行ったり、あるいは必要に応じて沖縄県の方とも相談して、さらに状況を把握するように努めてみたいというように考えます。
○内山分科員 続きまして、沖縄糸満市の不明、埋没ごうの調査について、NPO団体の調査では、二百四十ごうのうち、手つかずのまま未確認ごうが百五十カ所も判明したとございます。国はこの実態を把握していますでしょうか。
○及川政府参考人 お答えに入ります前に、全般的な概況につきまして説明させていただきますと、沖縄における戦没者数につきましては、私どもとしまして約十八万六千五百人と推計してございます。これに対しまして、これまで、民間の方々による遺骨収集も含めて、国、沖縄県におきまして収集いたしました遺骨が十八万六千百四十二柱ということで把握してございます。
 そういった中で、今御指摘ございました地下ごうでございますけれども、ガマですが、県内に二百四十八カ所の築造された地下ごうが存在していて、糸満市に三十七カ所あるという報告が、先ほど申し上げました、沖縄県が国土交通省等に提出した資料の中に触れられているというように承知しております。
○内山分科員 こういう資料では、ガマの二百四十の所在地が一覧となっているわけですね。そういう資料がありますから、これはやはり手つかずのままということであってはならないと思います。
 さらには、この埋没ごうを探査する手法としては、電気探査による空洞調査というのがありまして、これで何かこう電気的にやる、磁気的にやると下の空洞がわかる。こういう手法を使えば、より効率的にわかるんだということを書かれていますけれども、こういう手段を使って、国が積極的に未確認ごうの発掘調査をする意向はありますか、どうでしょうか。
○及川政府参考人 御指摘ございましたごうでございますけれども、ごうの中にはさまざまな形態のものがございまして、地すべり等の危険があるもの、あるいは史跡に指定されているもの、私有地であって地権者からの掘削許可が必要といったさまざまなものがございます。他方でまた、遺骨が存在するという確たる情報がないというふうな状況も多くございます。
 したがいまして、きょう御議論ございますNPO団体の方々との連携といったことも含めて、情報がありました場合には、国として必要な調査、遺骨収集といった対応に努めてまいりたいというように考えております。
○内山分科員 今度は、フィリピンのレイテ島の埋葬日本兵調査についてお尋ねをしたいと思います。
 タクロバン市パロ町には、米軍が日本兵千九百二十四人を埋葬したという記録がありながら、日本政府は全く今まで手をつけていないという状況があるようでありますけれども、この点についてお尋ねをします。
○及川政府参考人 御指摘ございましたレイテ島のパロでございます。
 この件につきましては、今お話ございました点につきまして、今月に入りまして、このNPO団体の方から私ども社会・援護局の方に、活動状況の説明をお聞きしております。
 埋葬地図を入手して、具体的に、そのパロの町役場の横の空き地に日本軍兵士の遺体を埋めたという現地住民の証言が得られているので、同法人として近く試掘を行いたいという報告を受けてございます。
 したがいまして、私どもとしまして、この試掘の結果をまたお話しいただいて、その上でその状況に基づいた対応を、国として必要な対応をしていきたいというように考えております。
○内山分科員 パラオ共和国のペリリュー島の件でちょっとお尋ねしたいんですけれども、ここの遺骨収集がおくれているという理由をお聞かせいただきたいんですが。
○及川政府参考人 お答えします。
 ちょっと質問通告がなかったもので、具体的に把握しておりませんけれども、それぞれの地域におきまして、やはり現地政府との間でいろいろな環境整備といった面が必要ということが一般にございます。
 ペリリュー島につきましては、今ちょっと確認しましたところ、遺骨の鑑定といったことも含めて、その実施方法につきまして現地政府との間でなおその交渉の必要がある、事故があったりといったことも含めて、環境整備が必要な状況があるというふうに聞いております。
○内山分科員 今、交渉中ということで了解してよろしいんでしょうかね。はい。
 次に、硫黄島の滑走路移設ということについてお尋ねをしたいんですけれども、現在、防衛省は、滑走路下の遺骨を収集するために、滑走路の移設のための資料収集と現地調査費用として二十一年度予算に約一億円を計上しています。
 厚生労働省として、防衛省と遺骨収集のために今後どのような協議をしていくのか、対応するのか。何かありましたら聞かせていただきたいんですけれども。
○及川政府参考人 お答え申し上げます。
 硫黄島につきましては、これまで長い年月をかけて、鋭意遺骨収集に取り組んできましたけれども、まだ約四〇%の遺骨しか収集できていないという状況でございます。
 そういった中で、これまでやり残した対応といたしまして、島のほぼ中央部を占めております、防衛省、アメリカ軍が使用している滑走路、ここの地下については収集をこれまで行っていないということがございます。そういった中で、防衛省の方で、滑走路の補修に合わせて、滑走路を移転した上で対応するということを現在検討しているというように聞いております。具体的には、防衛省といたしましては、二十一年度においてこの移設に関する環境現況調査を実施するということで聞いてございます。
 厚生労働省といたしましては、防衛省の検討に合わせてこの滑走路地区の遺骨収集を進めていくという方針で対応したいというふうに考えておりまして、具体的には、二十一年度におきましては、滑走路を移設するとした場合の移設候補地の周辺につきまして、地下ごうの状況がどうなっているか、空洞調査を地表から行うという対応を行いたいというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、二十二年度以降につきましても、この滑走路移設の問題についての防衛省の対応方針と合わせながら、遺骨収集の対応方針を検討していくという姿勢で対応してまいります。
○内山分科員 しっかりと連携をとってやっていただきたい、こうお願い申し上げます。
 大臣、戦後六十三年もたって、いまだにこういう地表に遺骨が転がっているなんということは、あってはならないと思うんですよ。だらだらやってはならないということで、尾辻大臣のときにも、三年で区切るよといってもやはり区切りはつかないわけでありまして、ここはもう本当に、戦没者を安らかに埋葬するというのは国の責務です。国の責任でもっと積極的に、もっと急いで対応すべきだと私は思いますけれども、大臣の決意とその辺の所感をお尋ねします。
○舛添国務大臣 委員から、各地の今の遺骨収集状況についてお話がありました。私のところにもたくさんNPOの方々が来られて、本当に御苦労で、こういう方々のお力は大変大きいということで、ぜひ今後とも協力してくださいということを申し上げております。
 国としても、今年度も予算を三千二百万円までふやす。それから、その中でもとりわけ情報収集、今まで二千九百万でしたのを六千二百万にふやすということで、情報収集のための予算を置いておりますので、いつまでもだらだらということではなくて、やはりある程度の区切りはつけないといけないと思います。
 先ほどの、首里城の下にそういうのがあるのかなというのを、今初めてお聞きするので、私もしょっちゅう沖縄に行ってこういう問題にかかわっていたつもりなんですけれども、ですから、新たな情報が出てくれば、またきちんとやっていきたいというふうに思っております。
 先ほど、ちょっと私が数字を間違って申しまして、遺骨収集関連予算が全体で二億四千万、それを三億二千百万までふやすということで、そして、収集事業は二千九百万から六千二百万で間違いありません。ちょっとけたを言い間違えておりました。訂正させていただきたいと思います。
 ただ、本当にこの遺骨収集、これは粘り強くやっていくこともありながら、しかし、これが終わらなければ本当は戦後が終わらない、そういう思いで、今後ともしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
○内山分科員 時間の前ですけれども、これで終わります。ありがとうございました。
○菅原主査代理 これにて内山晃君の質疑は終了いたしました。