2007年6月8日

第166回国会 衆議院 本会議       2007年06月08日

○議長(河野洋平君) これより会議を開きます。
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 議員内山晃君を懲罰委員会に付するの動議(六月一日、谷畑孝君外五名提出)
○議長(河野洋平君) 谷畑孝君外五名から、去る六月一日、成規の賛成を得て、議員内山晃君を懲罰委員会に付するの動議が提出されております。右動議を議題といたします。
 提出者の趣旨弁明を許します。鴨下一郎君。
    〔鴨下一郎君登壇〕
○鴨下一郎君 自由民主党の鴨下一郎でございます。
 私は、ただいま議題になりました議員内山晃君を懲罰委員会に付するの動議につきまして、提出者を代表し、その趣旨の弁明をいたします。(拍手)
 まず初めに、この第百六十六回通常国会において、延べ二十四件の懲罰動議が提出されていることは極めて残念なことであり、このような現状を深く憂慮するものであります。懲罰動議のほとんどは採決時における混乱から生じたものであり、今、衆議院は、言論の府を放棄する事態に陥っていると言っても過言ではありません。幾ら自分たちの要求が通らないからといっても、暴力的な行動を容認することは断じてできません。
 我々は、議員内山晃君に対し、二件の懲罰動議を提出しております。
 一度目は、去る五月二十五日の厚生労働委員会における日本年金機構法案及び国民年金事業改善法案の採決の際、委員長席に詰め寄り、他の議員とともに委員長の顔の前に手を出し、発言を阻止しようとするなど議事の妨害行為を行いました。
 二度目は、去る五月三十日であります。厚生労働委員会における年金時効特例法案の採決の際は、前回のときよりもさらに激しく、内山君はいち早く委員長席に詰め寄り、まず、委員長が座っているいすを外し、委員長を羽交い締めにして引きずりおろしました。その議事妨害の行為は多くの国民も見ており、隠しようのない事実であります。これが院の外であれば、暴行罪として訴えることもできる行為であります。
 このような行為は、「議員は、議院の品位を重んじなければならない。」とする衆議院規則二百十一条に違反することは明白であり、秩序を乱す採決阻止行動であったことは明らかであります。二度にわたる委員長への議事妨害行為を容認することは、院の品位が問われ、国会の権威を失わすことは必定であります。
 院の秩序を乱す行為は、議会制民主主義の根幹を揺るがすものであります。憲法五十八条にも、「秩序をみだした議員を懲罰することができる。」とあります。我々は、このような行為を断じて許すわけにはいかないと考えており、看過することはできません。言論の府を取り戻す意味において、まことに残念ではありますが、議員内山晃君を懲罰委員会に付するの動議に対して、議員各位の御賛同を得られますよう切に要望して、提出の趣旨弁明とさせていただきます。(拍手)
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○議長(河野洋平君) この際、内山晃君から、弁明をいたしたいとの申し出があります。これを許します。内山晃君。
    〔内山晃君登壇〕
○内山晃君 民主党の内山晃でございます。
 ただいま議題となりました私を懲罰委員会に付する動議に断固反対して、心からの怒りをもって、一身上の弁明を行うものでございます。(拍手)
 おとといの厚生労働委員会において、またしても重大な事実が発覚をいたしました。いわゆる消えた年金記録が、これまで社会保険庁が明らかにしていた五千万件のほかに、第二の記録漏れとして、大量の手書き台帳分、千四百三十万件もが、今該当者不明のまま残っていることが判明をいたしました。
 消えた年金記録は一体何件あるのか、本当にこれで打ちどめなのか、だれもが皆、まだあるのではと疑問を抱いています。まさに、底なしの消えた年金記録問題と言うほかはありません。
 去る五月二十五日及び三十日の二度にわたり、櫻田義孝厚生労働委員長は歴史に残る強行採決を行いました。私たちは、これらの強行採決は政府・与党が消えた年金記録問題にふたをして、逃げ切りを図ろうとするものだと厳しく追及をしてきましたが、新たな消えた年金記録の発覚は、まさに私たちの指摘が正しかったことを証明しているのであります。
 国民は今、消えた年金問題に対して、心の底から怒っています。このような重大な問題が長年にわたって放置された上に、政府・与党は泥縄式、つけ焼き刃、さらには実効性のない無責任な対応に終始するばかりであります。
 私は、自民党が作成をいたしましたビラを見て、怒りを通り越して、これが長年政権与党の座にある自民党がやることなのか、政権与党としての自信と誇りはないのかと、とてもむなしさを覚えました。消えた年金記録問題を政争の具にし、我が党を不当におとしめようとしているのは、あなた方自民党ではありませんか。
 政府・与党は、消えた年金記録の責任の転嫁をするだけではなく、社会保険庁の看板のかけかえを行うことによって、社会保険庁の責任をあいまいにするどころか、与党の政治責任をもうやむやにしようとしているのであります。このような横暴、無責任な与党の態度は、絶対に許されるものではありません。
 百年安心といって国民にアピールする年金の財政はどうでしょうか。
 平成十六年の年金収支を見てみますと、被保険者数が想定より下回り、年金保険料が六兆五千億円も少ない二十兆二千億円しか集まらなかったのであります。このままでいくと、年金積立金の百七十一兆円が政府の考えている百年ももたずに、早く底をついてしまうことになります。
 消えた年金記録の上に、財政まで怪しくなってきている現状の年金制度は、平成十六年の年金改正時に政府が声を大きくして言ってきた百年安心の年金にはならず、誤りであったとますます証明されているじゃないですか。近い将来、国民に負担をかける再度の保険料を引き上げるのか、年金給付を引き下げるのか、はたまた所得代替率を低下させるのか、早急に見直しをしなければならないことになると思います。
 私たちが望むのは、消えた年金記録を初め、多くの年金問題をどうやって解決し、年金制度に対する国民の信頼を取り戻すかという純粋な政策論争であります。
 そのため、私たちは、年金信頼回復三法案を提案し、厚生労働委員会において真剣な議論を行うよう、再三再四申し上げてまいりました。しかし、櫻田義孝厚生労働委員長は全く聞く耳を持たず、五月二十五日及び三十日の二度にわたり、問答無用の強行採決を行ったのであります。国民の財産、生活に直結する年金については、決してこのようなことがあってはなりません。
 今、この時期においても、本来もらうべき年金の給付を受けていない方々が数多く存在するということを忘れてはなりません。国民の正当な権利を守るために、同時に、年金に対する信頼を守るために、一刻も早く消えた年金記録問題の徹底調査と被害者の救済が急務であります。
 今般、私に対する不当な懲罰動議が谷畑孝君外五名から提案をされましたが、責めを負うべきは櫻田義孝厚生労働委員長、そしてまた櫻田義孝厚生労働委員長の不公正かつ強引な委員会運営に加担した与党の厚生労働委員であることは、国民の目から見て明らかであります。
 巨大与党の数の力によってこの議場でやりたい放題のことはできても、怒りに燃える国民を抑え込むことはできません。
 与党が本気でこの消えた年金記録問題の対策を講じる気持ちがあるのなら、十分な議論を尽くし、社会保険庁が新たな組織に変更される前に、被害者の救済、再発の防止策という総合的な対策を講じることが求められていることに気がつくべきであります。この間の政府・与党の対応は後手後手に回ってしまい、強行採決がいかにも野党の原因であるかのような論調を張り、その間違った判断が国民の年金に対する不信感をますます増幅させているのです。
 今、国民は、国会の動きを直視しています。
 今回の消えた年金記録においては、九割の国民が社会保険庁を初め政府、そして与党に対しても不信を抱いています。事実、内閣支持率の急激な下落は、それを忠実に示していることであります。
 先日の党首討論で我が党の小沢一郎代表が申し上げているように、与党の数の力による横暴な議会運営ではなく、与党であるならば、謙虚に大きな度量で応じるべきでないだろうか、その上で、議論があるというのであれば議論をさせる、そして議論を尽くしたところで整々と採決をすればよいということであります。
 国民にとって最重要課題である年金問題だからこそ、数の力による強行採決は避けるべきで、たった四時間で審議を打ち切り、強行採決をすることなど、絶対に許されるものではありません。
 日本国憲法の前文は「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」から始まっています。我々国会議員は、国民の負託を受け、国権の最高機関である国会で、国民の代表として活動しているのであります。いかなることがあっても、国民の不利益になることだけはやってはいけないのであります。もし、国民に不利益になると判断される事態になれば、それこそ体を張ってでも阻止しなければならないと考えます。
 歴史を顧みれば、昭和十一年、二・二六事件直後に、いわゆる粛軍演説を敢行した斎藤隆夫衆議院議員は、昭和十五年には再び反軍演説を行い、衆議院議員を除名されました。そして、昭和十七年には、いわゆる翼賛選挙が行われ、衆議院の八割以上を大政翼賛会推薦の議員が占める結果となりました。その後の我が国がどのような道を歩んだか、今さら言うまでもないことでしょう。
 今、本院には、三分の二の議席を有する巨大与党がおります。与党が道を誤れば、まさに民主主義を死なせることさえ可能であります。
 国民の政治に対する信頼、そして年金制度に対する信頼を取り戻すためには、政府・与党がみずからの行為を真剣に反省し、いま一度真摯な議論を行うこと、これ以外にありません。
 今回の懲罰動議に係る行為は、まさしく国民の暮らしを守る、国会議員としての行為であり、このことが懲罰行為というのであれば、あえて国民のために懲罰をお受けすることを強く申し上げ、私の一身上の弁明といたします。
 ありがとうございました。(拍手)